2013年2月9日土曜日

隠れた1介の修道士。苦労は、神さまだけが知って居られる

先日、神に召された修道士、ライモンドさん、「満州で終戦を迎えた」というだけで、過去を全く語らない人だった。修道院へ入って、ポーランド人修道士が料理長をつとめる助手になった。まず、市内の料理店へ弟子入りして、修道院から通って修業した。その後、ポーランド人に代わって、修道院や学園の料理長をつとめた。料理に熱心な修道士だった。彼が修道院へ入会してからは、皆さんは、彼の行動を知っている。しかし、彼がなぜ洗礼を受けたのか、なぜ聖母の騎士へ来たのか、家族はいるのか、兄弟姉妹はいるのか、入会以前のことは何も語ることはなかった。もの静かな修道士だった。それでこそ、修道士と言える。彼が亡くなり、火葬場へ遺体は運ばれた。修道者たちが20人あまり同行した。その中に見知らない老人夫妻が混じっていた。骨になるまで、1時間30分ほど要する。待ち時間は長く感じられた。その老人の夫婦の、男性に声をかけてみた。実の兄さんだった。しかもお医者さん(内科医・開業)だった。「え、お医者さんのお兄さんが居たの」。彼は全く何も語らなかった。お通夜や葬儀ミサでは、「修道院の食事の世話で、奉献生活を尽くし、隠れた生涯を全うした」と、それだけ称えられた。お兄さんは言う。自分たちには7人の兄弟姉妹がいる。満州から引き上げてきたときは、貧しさ、苦しさのどん底だった。彼の兄(自分も含めて)、2人は家を出て、大学で学んでおり、彼が働いて、その給料で、両親や弟、妹たちを養い、面倒をみていた。彼を除いて、みな健在です、とお医者さんの兄は感謝していた。黙々と働いて、家族の面倒をみながら、やがて自分の道、修道士へと進んで行った。それらのことは何も語らず、最後の日に、初めて知った。お医者さんの奥さんは、「カトリックの葬儀に初めて与った。心のこもる、すばらしい葬儀に感動しました」と言って、別れた。遠い昔の家族の出来事、苦労かも知れないが、誰も知らないことです、神さまだけが、知って居られる。

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