2017年4月15日土曜日

「トマさんのことば」が出来る物語④「続編」で決意

2016年の5月、美樹さんから、久しぶりに手紙が届いた。それは長崎市から上五島に移転した知らせだった。その次の月、6月には、また手紙があって、島での生活を知らせてくれた。
★「有川医療センターで働いています。毎日、100人ほどの患者さんが来られる。上五島の人々は世話好きといいますか、気の良い方が多く、嫌な思いを一度もしていません。時々、シスターも来られます。別の地区の診療所へも行きますが、そこで働く時が私にとって小さな幸せです」
★「病院に現れるカニや、汽笛の音、潮の匂い、漁師さんの肌黒さなど、『島』だなと、ふと思います。5月はマリアの月ですね。中ノ浦教会のバラがとてもきれいでした。(写真は美樹さんが写した中ノ浦教会のルルドの聖母マリア・私も何度も巡礼した)。トビウオのおさしみや、イセエビを初めて食べました」
★同じ月、2016年6月25日に、2人はホームの自室に訪ねてきた。部屋で会うのは、2度目です。話題は上五島の話しが主で、私も五島の教会はよく巡礼して知っているので、島の話しに花が咲いた。
★ここで一緒に来る野々村哲(さとし)さんを紹介しておこう。静岡県裾野市で生まれで、京都で育ち、小学4年から高校卒業まで長崎で過ごした。大学進学で広島へ行き、大学院在学中に一年間、ドイツに留学する。帰国後、再度、留学を望んだが、病気のため長崎へ帰った来た。
★哲さんは、高校生の頃、遠藤周作の作品を読んで、長崎のキリシタン史に関心を持っようになる。一度、県外や、国外に出て長崎に戻ると、更に関心が高まり、各地の教会や史跡をまぐる旅を始めた。聖母の騎士社の出版物や、聖コルベ館、そして「ネットで情報を発信している修道士さんが居られると知り、トマさんに出会いました」。現在は、長崎・長与・大村などでドイツ語講師をしている。写真が趣味です。
★この6月の出会いの後、また2人とは音信が途絶えた。
★今年になって、2017年2月25日、突然、2人が自室に姿を見せた。自室では3度目になる。そのとき、直接、手渡されたのが「続・トマさんのことば」だった。これを見たとき、彼らの情熱と愛を強く感じた。いま、2冊の本が私の傍にある。「ここまで尽くしてくれるのか。このような出来事が人生に再度あるだろうか」とさえ思い、感動した。
★「そうだ。この小さな本を印刷して、ブログを読んでくださる方々に贈りたい」。そういう思いが心に湧いてきた。無料で、郵送代も無料で届けたい、と心に決めた。
★だが修道士だから、勝手には出来ない。目上、管区長や、院長の許可が要ります。ちょうど3月11日に、聖母の騎士で、「うどん屋の今井君」の誓願式があり、管区長も院長も参加する。格好の時期だ。私は美樹さんに連絡して、2人とも誓願式と祝賀会に参加するように願った。
★美樹さんは休暇をとって、彼らは来てくれた。ミサ後、お祝いの席で、管区長、院長に2人を会わせて、「トマさんのことば」を直接見せて、許可を求めた。院長は、自分で会場内から騎士社担当の修道士を探して、連れて来た。そこで私たち3人と、騎士社担当の修道士と交渉して出版への段取りを決めた。
★3月18日には、もう初めての校正、23日には、2回目の校正、24日には、2人がホームの自室に来て、最後の校正と、ある部分の修正を行なった。4度目だった。(右側の写真)
★こうして「トマさんのことば」は、あれよ、あれよと思う内に、印刷、製本へと工程は進んだのでした。
★後は、完成した「小さな本」を早く見てみたい。手に触ってみたい。2人の熱意で小さくとも立派に実った作品を、ブログ愛読の皆さんに贈りたい、届けたい、そう願っています。

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