2017年5月12日金曜日

山野さんの人生。ホームに居ても、まだ希望がある

個人情報の関係で、ホームの入居者の顔写真や、話しを、個人的に「日記」に取り上げたことは全く無い。入江さん、神父さんは例外です。だが、今度、どうしても書きたい男性がいた。交渉の末、「ウン、いいよ」と言われたのが、写真の「山野さん」です。
★なぜ山野さんに目を付けたか。それは彼が手にしている「スマホ」です。入居者は老人ばかりで、スマホなど持っている者は全く居ない。その中で、山野さんは「スマホ」を操作して、「登明の日記」を読んでいるじゃないか。これは、ほっておけませんよ。
★「どのようにして、登明の日記を見つけたのですか」「そりゃ、簡単ですよ。スマホに、クチを近づけて、『セイボのキシ』と声を出せば、『ズラ、ズラ、ズラ』と、項目が出てくる。これまた、小崎さんの写真が、『ゾロ、ゾロ、ゾロ』っと出てきて分かりました」。そう言って、スマホを操作して、日記を出して見せた。
★山野さんの部屋を訪ねた。彼の話を聞いた。「70歳になる。入居して、10ヶ月。心臓病と脳出血で倒れて、身体が不自由になった。リハビリをしている。元気になったら、ホームを出て、また働きたい。船長の免許を持っているからね」
★ホームの隣の町で生まれた。中学を出て、15歳で、舟に乗った。広がる有明海。17歳で、潜水者となる。タイラギ漁が目当て。歳を重ねる毎に、活動範囲を広げて、北海道まで、奄美まで、潜水して働きつづけた。最近は赤くらげ、山野水産を立ち上げた。
★「ホームはカトリックでしょう。入居に、抵抗はなかったですか」「いや、ないね。父親が平戸で、山野集落はカトリック、教会の横には先祖の墓もある」「人生、過ごしてきて、自分のモットーとしていることは何ですか」「ウソを言わないことだね。商売しても、人をダマサない。これだけは守った。悔いはないね。ずい分、ダマされたけど、ね」「パチンコ、賭け事は、しますか?」「全然、しない。ホームに来て、タバコも酒もやめたよ」
★山野さんの話を聞いていると、人生が楽しくなる。こういう生き方も幸せだ、なァ。何だか、胸を押さえつけない、パーッと広がるものを感じた。