2014年4月6日日曜日

老人は、過去を知る。「ボクのお母さん、どうだった?」

★玄関に、リッパな5月人形が、飾ってあった。ここは田舎の、山のなかの老人ホーム。従姉のばあちゃんを見舞いに行った。会うなり、ばあちゃん、泣き出した。大正うまれの、91歳。「キミエさん」。泣くなよ、と背中をさする。寂しかったんだろう、な。実子が居ない。ホームの部屋は、4人が住む。「夜、寝られんとょ」。シワの多いカオがゆがむ。おみやげを差し上げると、ナミダはピタリ止んだ。★長生きしても、苦労は多いんだな。ニンゲン、死ぬまで、気兼ねして、生きるのか。絶えて行くしかないだろう。★老人は過去を知っているはずだ。「キミエさん、ボクのお母さん、知っている?」。こっくり、うなずき「知っている」。キミエさんの家は、長崎市・上野町356番地。原爆の被害が多かった町。キミエさんは被爆前に、市外に縁付いた。荷物を運ぼうと、港へ行く。そのとき、ボクの家によって、母親に「いっしょに行かない?」と誘ったという。「幸一(ボクのこと)が居るから、行けないよ」とボクの母。原爆が落ちて、母親は行方不明となる。「いっしょに、行っておれば、ね。助かったかも」。キミエさんは、港で被爆し、無傷だった。人間の運命って、わからんね。キミエさんは、「結婚前は、よく、お母さんの家に泊まりに行っていたよ」「ボクも、覚えている」★133★

1 件のコメント:

  1. マリア・フランチェスカ2014年4月6日 19:41

    キミエ様は小崎さんの訪問が
    どんなに嬉しかったことでしょう。
    小崎さんもお母様のお話が聞け恵みの時でしたね。
    キミエ様がお健やかでホームで
    安心して暮らせますように。
    お母様もキミエ様もお優しい方です。

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