2020年4月21日火曜日

登明「話の小箱」★魚のドン(首領)で、サラバ長崎。今は湯江

長崎の神父さんが、東京の修院長となって、転任することになった。
★キリシタンの島出身のこの神父さんは、子供の頃から大の釣りキチ。唯一の楽しみは釣りで、釣りの話になると、顔がやんわりと、ほころびる。「私のために、慰労会もお別れ会も、いらんよ。一日、ゆっくり釣りに出してくれたらよか」
★いよいよ別れが近づいた時、これが最後の舟出だと、仲間の神父さんを、3,4人さそって、海に出た。普段は、近くの湾口で釣るのだが、この日ばかりは、本格的に、大洋に出た。
★ああ、これで長崎もサヨナラか。胸イッパイに潮風を吸い、東京では、釣りたてのサシミは食べられんからね、と獲物に期待した。魚釣りのダイゴ味は、ジーィつと待つ間にあるそうな。
★待つこと、しばし。オ、オ、かかったぞ。ぐいぐいサオを引く。たぐる。手ごたえが大きいぞ。シメた。目は笑い、腕は緊張。チカラ、いっぱい引き上げると、なんと、デカイ魚がかかった。見事な鯛の一種だ。体長72センチ、重さ4.2キロ。バンザイ。海上に歓声があがる。「あの魚の後は、4時間あまり少しも釣れなかったモンね」と仲間の神父さん。「ありゃ、魚のドン(首領)やったとバイ」
★主役の神父さんも、トロ箱から尾っぽが出るほどのオナガグロを釣ったのは初めてと、大満足。「この分だと、東京に行っても、いいことがあるかも」とホク、ホク。
★その夜の修道院の食卓は楽しかった。おいしさに湧いた。ただ1人、福井県・永平寺の隣の町出身の老いた修道士のみが、「カワイソウに、ザンコクや」と言いつつも、サシミを食べていた。
★この小話から、もう何十年が経ったであろう。あの魚を釣り上げた神父さんは、ホームの隣、修道院の院長さんになっている。写真の濱田盛雄神父さんが、その人です。
★修道名は「コンラード」。今日が、聖コンラード(修道士)の記念日でした。修道名を頂いている濱田神父さんのお祝いとなります。
★今年、88歳になられます。司祭生活60年、ダイヤモンドは、もう過ぎました。人生には、一生に1度は、大仕事をする時があるでしょう。トマの考えでは、濱田神父さんの大仕事は、聖母の騎士の院長を勤めていたとき、教皇ヨハネ・パウロニ世をお迎えした時でした。
★聖母の騎士の教会は、建立20年が経過して、外面に汚れがみえた。濱田院長神父さんは、広い外面、内面、みな塗り替えました。教皇さまがお掛けになる「教皇さま椅子」「ひざまずき台、2基」など、特注で整いました。寄付を募りましたが、そこが濱田神父さんの手腕の見せ所で、赤字にならずに、立派に、計画通りに行なった。
★濱田盛雄神父さんが、おっしゃる基本は、司祭も修道者も、「礼儀作法・人間としてのマナー」を大切にして、「思いやり・やさしさ」を表わすことです。修道会の地区集会のときにも、それを強調されます。神父は、エライ。そうじゃ、ない。同じ目線で、温かく接しなさい。
★濱田神父さんと言えば、趣味の「釣り」を抜きには語れない。それは「登明『話の小箱』に書いた通りです。湯江でも、休みの日には、釣りに出かける。相手は、松下修道士。こちらも負けない腕前です。歳を重ねても、釣りを楽しむ。これが神父さんの健康の秘訣です。釣りの日の夕食には、豪華なサシミが出る。時々、瀧神父さんは、サシミを食べに行く。
★今日の夜は、教会で、修道者だけが「教会の祈り」を唱えて、その後に、修道院で、お祝いの宴を開く予定です。「コンラード濱田神父さん、もう米寿だよ」

3 件のコメント:

  1. マリア・フランチェスカ2020年4月21日 18:40

    コンラード濱田盛雄神父様
    修道名記念日おめでとうございます。

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  2. コンラード濱田盛雄神父様
    修道名記念日おめでとうございます。

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  3. がぶらってぃ2020年4月22日 0:40

    豊かな祝賀の夕べを過ごされたことと想います。
    コンラード濱田神父さまには、記念の日をお慶び申しあげます。

    トマさんの撮影されたお写真からは、「礼節」と「泰然」を体現されている
    濱田院長神父さまの空気感がそのまま伝わるようです。

    考えてみますと、釣りにも「礼節」と「泰然」が求められますね。
    勝手ながら、大きくうなずきました。

    トマさんの描かれたイラストは躍動感があり、愉快な気分になりました。
    また、永平寺の隣町からみえていた修道士さんの食事風景「カワイソウに、ザンコクや」
    は、活動写真を観るように想像できます。食卓の笑いまで聞こえるようです。

    分かち合いをありがとうございます。

    五島の教会で、新しくなったステンドグラスに、漁師さん達の姿を見た
    ことがあります。人々の暮らしの中にある教会の姿を
    実に新鮮に発見したことを思い出しました。

    私の暮らしの中にある教会はどうあったのか、
    振り返りながら1日を終えます。

    ありがとうございます。



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