「トン、トン」。自室の戸を、ノックする。「ハーァイ」。開けると、ミカンを持った女性が押し車の傍に立って居た。
★「修道士さん、食べて、くれんね。五島のミカンさ。うちが植えたと。送ってくれた」
★ホームに入る以前に、女性が植えて、育てていたらしい。思い出のあるミカン。市販のミカンと違って、ちょっと恰好は立派じゃないが、温かみがある。「おお、ありがとう」。以前にも、貰ったことがある。写真を撮ってあげたら、喜んだ。「五島に、送ろう」
★この女性の優しさに心惹かれる。カラオケもウマイ。「ヤァーレ、ソォーレ」と声をかけて、押し車に頼って、ゆっくりと歩く。しきりに「五島が、よか、な。帰りたかよ。ああ、帰りたか」と、大きなタメ息をつく。
★確かに、五島が、よかモンな。想像は出来る。小さな教会があって、集落は皆、親戚のような人たちばかりで、子供の頃から育ってきた。巡礼で回った五島でさえ、忘れキラん、よ。人は、生まれ、育って、幼い頃から「飲んだ水」のある所が一番よか、よ。五島の言葉で「かわいい」は、「ミジョーカ」という。そういう時代もあった。これも想像できる。ホームに来たからには、子や孫のためにも、長生きしてほしいと思う。
★12月に入って、ホームの廊下には、クリスマス・ツリーが飾られた。1年が過ぎるのも、早やーか、ね。昨日は待降節の第一の主日でした。クリスマスに向けて、心の準備が始まる。
★午後から、来客がある。11月の中旬に、神奈川県の女子高校生たちに、長崎・聖母の騎士で語りべを務めた。その時、7,8人の、長崎市内の女性たちも聞いていた。話の後で、私の所へ寄って来て、小崎さんの原爆の話を録画したいという。女子高校生たちの話は、半分、原爆の体験、半分が、コルベ神父の話だった。「被爆の話を全部聞きたい」「ああ、いいですよ」。それが今日になった。午後から時間が無いので、早めに日記を書きます。長崎市から、女性3,4人がホームに訪ねてくる。「出番が、あるのは、ありがたい」
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