2018年7月14日土曜日

遠藤周作氏と外海。波紋の「沈黙」。出津でパスタを


名作・遠藤周作の「沈黙」より。2人の宣教師は、船で陸地に近づく。「真夜中、船はふたたびできるだけ静かに動きだしました。が幸い月がないため空は真暗で誰にも発見されません。半レグワほどの高さの陸地が少しずつ迫ってきます。両側が急な山の迫っている入江にはいりこんだことに気がつきました。浜のむこうに押しつぶされたような家々の塊が見えたのもこの時です」
★外海・黒崎の海岸。城(じょう)と呼ばれる山が2つ。遠藤先生が想像したのは、あの山の迫った入江に上陸したのだろう。右は、黒崎・集落の家々です。「沈黙」が出版された頃、新聞1頁に、黒崎教会の内部写真が載っていて、説明文が書かれていた。「沈黙」の舞台は、どうやら黒崎だったようだが、好意をもって受けていない。
★以前、瀧神父さんがトマに、こう言った。「むかし、アメリカ人の司祭が居て、沈黙の遠藤さんの作品を、最初は、一切、受け付けなかった。否定に近い。ところが、若者と遠藤さんのインタビューをテレビでみたとき、若者が聞いた。なぜ、あなたはカトリックなのか。遠藤、答えて、私には、それしか、ない。このひと言で、その司祭の遠藤観は一転したんです。それから遠藤、さま、さま、となった。遠藤は、偉いと言い続けた」
★この言葉を瀧神父さんから聞いたとき、私、トマは思ったよ。「そうだよ。知った以上は、捨てられない」。これさ。だれ、それが、例え、神は居ない、魂はない、と叫んでも、信じて、受け継いだ者にとって、知ったからのは、捨てられない。その根性が、ニンゲンには、ある。
★遠藤文学館から望んだ出津の集落。この日は霞んで、建物がよく見えなかった。昼食は、ド・ロ神父記念館の、坂道をへだてた民家のレストランで、ド・ロさま・パスタをおいしくいただいた。主人の女性が長年、黒崎役場に勤めていた。同行のシスターの兄も、松下修道士さんの兄も、同じ頃、黒崎役場に勤めていた。「よく知っています」などで、パスタ料はタダで、更にパスタのみやげものを戴いた。黒崎の墓参りは、本当に松下修道士さんにお世話になった。写真は松下昭征修道士さんです。