(登明『話の小箱』栄養満点、ナマのニンジン)
★昭和30年代のニッポン。その頃まで、農家では、野菜に人体から出る肥料をかけていた。
★ニッポンへ宣教に来た外国人の神父さんは、その光景を見て、ビックリした。「おお、これ、NO、NO」。それから、この神父さんは、頑固に、野菜をぜんぜん食べなくなった。
★野菜を食べないから、栄養に欠けてくる。神父さんは、とうとう栄養失調になってしまった。お医者さんは言う。「どうしても野菜を食べなさい。バランスのある食事が大事です」
★アタマをかかえた神父さんは、いろいろ思案の末、「セに、ハラは、カエられず」と、野菜を食べることにしたが、それには、ニンジンが最適であると思い当たった。
★というのが、この地方には『〇〇〇〇』といって、見事なニンジンが、どの農家にも栽培されていたからだ。ニンジンなら、栄養もあるし、ゴシ、ゴシ、洗って食べれば、キタナクナイ。「ベリーグット」と、神父さんは、うなずいた。
★さて、ニンジンのおかげで、神父さんのカラダは、メキ、メキ、快復していった。それから神父さんは、大のニンジン愛好者になった。どこへ行くにも、必ずニンジンをビニール袋に携帯した。ナマで、毎日、15、6本、ポリ、ポリ、食べた。
★神父さんは、折あるごとに、ニンジンの効能について説教した。「むかし、アダム、エヴァが楽園から追い出された時、何を持って行こうか、考えました。沢山のもの、持てません。その時、持って出たのが、ニンジンです。日本人、疲れると風呂に入ります。それより、ナマのニンジン、チカラ出るよ。ハ、ハ、ハ」
★司祭館の石垣に、赤色のペンキを塗った外国人の神父さんが居た、と聞いた。同一の神父さんか、定かでない。
この話は昔々まだ10代のころ「聖母の騎士」で読んで
返信削除大笑いしました。
そしてことあるごとに人に話して聞かせました。
そうですかトマさんの文章でしたか。
まだ別の話で舟を漕ぐ先頭さんとシスターの話がありますね。
同じような頃の記事なので
これもトマさんのペンによるものかと思いました。