月に1、2度、「コーラス」といって、20人ばかりが食堂に集まって、老年のシワ声を絞り出して歌う日がある。担当の女性職員さんに、日頃、お世話になっているから、入浴もしたいが、義理で、参加する。40分間程で、後半で「ヤクルト」が出る。今日は、あいにくのお休みで、代役の女性職員さんが相手をされた。「たなばた」「上を向いて」「幸せなら」などを歌った。
★椿原の小・中時代を思い出す。いつも「ジーッ」と、していない、音楽がキライな子ばかりだった。あの子たちを連想しながら、オレは「ジーッ」と、して、受け入れて歌う。
★「コーラス」の食堂を出て、すぐ医務室がある。1ピキの、小さな、軽い、黒いキジ猫がじゃれている。生後、すぐ広い庭の隅に捨てられた。拾ったからには、「いのち」が大切。貰い手が見つかるまでと、仕方なく飼っている。これが、また老人たちの心を癒している。お年寄りの女性が寄り添って、「かわいい」「かわいい」と、ナデ、ナデ、して満足して、ニコッと笑う。「名前はナンというの?」「キイロ」「黄色って、クロじゃないの?」「幸福の黄色いハンカチ、から付けたのよ」と看護師さん。猫用の粉末食で育てている。小猫は、ここが何処かも知らず、ゲンキにじゃれている。
★ホームの玄関にある「月下美人」が、今にも咲きそうだ。ホームにきて、1度、この月下美人の見事な花を撮ったことがあった。今夜、咲くだろうか。もう少し、ふくらみが足りないか。夜中に咲くので、今年は、花が撮れるか、どうか。
★自分のベッドで、夜、目をつぶって、遠い彼方の記憶から、子供の頃の手のヒラの感触を思い出しながら、我が胸を、しばし、さすりつづけて、安らかに眠る。「目に見えないものの気配を感じる、みたま」
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