★潜伏キリシタンといえば、隠れての信仰、秘かに唱えるオラッショ。一般的に、暗い感じがする。その中でNHKが取り上げたのは、「岳踊り」。喜びの踊り、五島の三井楽・岳の36人衆は迫害に遭い、踏み絵を強いられたが、1人も踏まなかった。迫害が終わって、苦難も跳ね除け、喜びに湧く信仰者たちは、歓喜の踊りに託した。
★今、岳踊りを踊る信者たちは、その由来を分からなかった。幸い、小崎修道士が1971年頃に現地を取材して、古老から岳踊りの由来を聞いていた。それがNHKのお役に立ったのです。
★こう1つ、この放送で感銘を受けたのが、五島の奈留島に教会がある。51年前に司祭を目指す少年が出たので、教会周辺の信徒たちが、夕方、教会に集って祈りの習慣ができた。「めでたし組」という。その少年が成長して、後、2,3年で司祭に挙げられる時がきた。彼は迷い、この道を外れようと思い悩む。すると、夫と3人の子供を失った女性がきて、「きつかでしょうが、どうか司祭になって、私どもの相手をしてください。頼るものは、どこにもありません」と言って、500円札をポケットへ入れた。彼は心を元に戻して司祭の勉強をつづけ、立派な司祭になって、大きな活躍をしている。
★NHKで、この話題の現実を見たとき、思った。五島の信徒と司祭の出会い。浦上信徒とプチジャン神父の出会い、日本にキリスト教を伝えた聖フランシスコ・ザビエル神父と信徒たちとの出会い、そこにキリシタンの思い、心があるのでないか。潜伏キリシタンたちは「7代経ったら、ローマからパパの船が来て、宣教師がくる」と、その思いを子から孫へと伝えて250年間期待し、希望し、オラッショを唱えつづけてきた。素晴らしい250年であったし、現在に至ったと思う次第です。