★保彦さんは、明るいみどりさんに惚れて、結婚を申し込む。保彦さんは11歳も年下であった。みどりさんも結婚に迷った。ちょうど、そのと
き、教皇さまが広島に平和巡礼に来られて、みどりさんも歓迎に参加した。運よく、パパさまと、左手で握手をする恵みを得た。みどりさんは思った。まだ、握手が出来る左の手があるじゃないか。保彦さんのプロポーズを受け入れよう。パパさまと握手して、4ヵ月後に結婚した。みどりさん、33歳。保彦さん、22歳。
★1時に、2人で来るものとばかり予想していた。みどりさん夫妻を度々取材して、騎士誌に何度か掲載した。何度も愛媛の自宅も訪ねている。ホームの玄関で、待っていた。それらしい車が見えた。駐車場に停まる。玄関を出て、待っていた。車から降りたのは、男性が1人だった。「車で、こちらの玄関まで来てください」。無言の保彦さんは、手に小さな額縁を持って近づいてきた。「みどり、です」「え?亡くなったの?」
★5月22日に、70歳で亡くなった。保彦さんと結婚生活36年であった。亡くなった1週間ほどしか経っていない。保彦さんの話によると、みどりのお通夜か、葬式だったか、頭が混乱して定かでないが、1人の女性が1枚のメモを差し出したという。「こんな時に、何ですか」。メモには「小崎修道士の住所、聖フランシスコ園」が書かれていた。「これは、みどりが、小崎さんに知らせて」との願いかも知れない。それで、今日、来たのです、と語った。それを聞いて、私の目から涙がこぼれた。
0 件のコメント:
コメントを投稿