暗い部屋に、黒いカーテン。
モーフをかぶって、横たわる病人。
静かに、修道士が入ってくる。
彼が、小さく、優しい声で、ささやく。「マァ~リア」
モーフを直して、隣の病人にも、「マァ~リア」
ポーランド制作の映画で見た、修道院のワン・シーン。
コルベ神父の映画。「好きだったな、あの瞬間」
修道士たちは、お互いに出会うと、自然体で、「マァ~リア」と挨拶を交わしていた。コルベ神父が、ポーランドに創立した『二エポカラヌフ修道院』でその習慣は始まった。
コルベ神父とポーランド人修道士たちは、長崎へ来ても、聖母の騎士で、その習慣はつづけた。「マリアさまのみ名を呼びましょう」「マリアさまで、呼吸しましょう」。トマも勧められたよ。ポーランド人修道士が居る間は、この習慣は、なじんだ。良かったと思う。「マリア」が、お互いの挨拶であったし、祈りでもある。
「マリア」と呼べば、「マリア」と答える。優しさ、安らぎ、があった。
ポーランド人修道士たちが、次々に、神に召されていき、その習慣は、いつしか途絶えた。残念に、思います。
★今日は、教会では、「マリアのみ名」の記念日です。その信心は、「1500年代、スペインで始まった」と記されていた。「マリア」のみ名は、癒しがある。
★今日は、ホームでは、懇談会が開かれた。職員の代表が、利用者に「10月の行事」を説明する。その後、看護師さん、栄養士さんからの説明もある。「コロナで、外出は、高来町内に限られていたが、諫早市内まで行けます」と緩和された。
★昼食が終わって、廊下に出ると、介護の絵里さんに、ぱったり出会った。
絵里さんが、言う。
「『はな』が、ね。録画した、あれ、見ているのよ。自分で、リモコン、操作してね。『職場のおじいちゃん』って、言ってね。高来中の場面の音楽から、鳴るでしょう。毎日よ。見ているのよ。フ、フ、フ」
「『はな』は、保育所、ね」「そう」
うれしいなァ。『はな』ちゃんが、おぼえてくれて、毎日、見てくれる。
お母さんの絵里さんの「一言」で、今日は、救われました。