今年は特に酷暑の日々が続いている。太陽に向かって、大きく花開くヒマワリのように、ゲンキを貰いたい。
★昨日は、教会では「聖ヴィアンネー」の記念日を祈った。フランス・アルスの聖司祭といわれ、19世紀の半ば、亡くなった。私は若い頃、聖人伝をよく読んだ。その中に、聖ヴィアンネーもいた。聖人の特徴は、徹夜の祈りと、断食と、厳しい苦行と、絶えず告白を聴く聖人といわれた。大勢の信徒たちが、聖人の元へ告白に押し寄せた。霊魂の状態を見通す聖人で有名だった。悪魔が嫌って、大きな音をたてて脅かした話もある。
★話は変わって、長崎県には大村湾の入口に、西海橋(アーチ式で、長さ316m、海面からの高さ45m)がある。昭和30年11月に完成したが、橋の下は、潮の流れが激しく、船も流される。飛び込むと、渦巻きで死体は上がらない。一躍、自殺の名所となった。橋の完成後の2,3年間に30人が自殺し、150人が保護された。私は「オラショの旅」で、平戸へ案内するとき、西海橋を通った。そのとき説明していたのが、この聖ヴィアンネーの話だった。
★ある1人の女性が、悲しみに沈んで聖ヴィアンネーに相談に来た。主人が橋から投身自殺をした。主人の霊魂は何処へ行ったのか。祈ってもムダですか。私は一体どうしたら、いいのでしょう、と嘆いた。聖人の司祭は見通して言った。ご主人は5月にマリアさまへ美しいお花を捧げていたのを覚えていますか。そのささやかな行為をマリアさまはお見捨てになられません。ご主人は、足が橋から離れて、海面につく瞬間に、聖母のお恵みで改心したのです。大きなツグナイをしているから、多くのロザリオで助けてあげなさい。
★そこで西海橋へ来たとき、言うんです。本当に、瞬間に改心できるのでしょうか。疑問だね。その証拠があった。昭和33年2月に、1人の高校生が飛び込んだ。幸い、近くに漁船が居て、意識不明の彼を助けた、記事が新聞に載った。高校生曰く、死にたい。親不幸をお許しください。遺書に書いた。飛び込んで落ちて行くとき、自分をはっきり意識した。深く沈んだが、浮き上がって、再三もぐった。死にきれず、泳いでいる間に意識を失った。やっぱり瞬間に改心の時間はあったのです。
★聖ヴィアンネーの記念日が来ると、なぜか、この話を思い出すのです。西海橋には続きの話がある。ある若い母親が赤ちゃんを抱えて橋の下を覗き込んでいた。突然、赤ちゃんを放してしまった。赤ちゃんは45m落下した。幸い、船が赤ちゃんを助けた。私が西海橋を訪れたとき、ちょうどお母さんが、入院していた赤ちゃんを抱いて、関係者にお礼に来ていたのだった。話によると、赤ちゃんの体はやわらかく弾力性があり、肉体はふんわりしており、マリのように跳ねて助かったらしい。そんな事を耳にした。世の中には、いろんな事が起こるモンですね。