長崎のカトリック修道士。17歳の時、原爆を受けて、この道に入る。 生かされて来た数々の恵みの中で、今年の1月、最大の試練「すい臓がん」を告知された。 「みむねの・ままに」。孤独と苦痛に耐え得るチカラを日々、祈る。 毎日、日記を書き続けて13年。今、長崎市の病院・ホスピス病棟で暮らす。 追記 2021年4月15日 午後6時48分 帰天されました。享年93歳
2014年6月2日月曜日
長崎・びわ物語。色紙に添えて、仲を取り持つ愛。
いま、長崎では、くだもの・ビワが、最盛期です。ビワで有名なのが、茂木(もぎ)ビワです。暖かい海岸の近く、山手にイッパイ咲きます。今年は、新種のビワ、大きなビワが成りました。ビワ農家も大喜びです。「なつの・たより」と名づけました。普通のビワは、右側(Mサイズ、Lサイズ)の大きさですが、「なつの・たより」は、ごらんの通り、左側(3Lサイズ、5Lサイズ)、ふとか(大きな)ビワです。手に取る人は、びっくりしますよ。食べてみたい、とも思います。★先日、「長崎じゃ、モン。ビワを食べたいな」と言うと、会計係の修道士さんが、茂木にようすを見に行った。家々の軒先で、収穫しているビワを選別している。修道士さんが声をかけると、親切にも、商品にならないビワを大きな箱イッパイくれた。ついでに、「ゆめの・ほのか」も、くれた。修道士さんは「トマさんに食べさせよう、持って来たとばい」。トマもおどろいた。「見たことも、ないビワだよ」。写真に撮って、日記に載せよう。ビワは、後で食べようと、残しておいた。★そこへ、やって来たのが、韓国人の1人旅の青年だった。彼は日本語は話せない。「こまった、な」。こちらも韓国語を話せない。以前、李・神父が作っておいた韓国語の案内(手作り)を、コピーして渡した。彼は、喜んで、熱心に、資料を見ている。最後に、色紙を買うという。韓国人で色紙を買うのは初めてだった。どれが、いいか。「ウグイスの絵」を選んだ。1.000円くれた。「愛のあるところ、苦しみなし。たとえ苦しみありとも、のち喜びとなるべし」と書いてあった。青年はルルドへ登った。また帰りに、入ってきた。「もう1枚、ほしい」。(もう、やめとけよ)と、心の中では思ったが、「梅の絵」を選んでやった。「お金は、いいよ。プレゼントする」。そこには「ほんとうの愛に出会えば、苦しみ痛みは、のり越えられる」と書いてあった。後で、日本語が分かる機会があったなら、きっと喜ぶだろう。次に、写真を撮らせて、と言うので、カメラに収まった。そこで、です。別れに、思い切って、残しておいた5個の茂木ビワを渡すと、彼は笑顔で喜んだ。エガオって、国境はないんだよ、ね。ああ、あの「ゆめの・ほのか」は、韓国青年のバッグに収まった。ビワよ、お前は、幸せだろう。ビワの語りが聞こえる。「エガオで、仲良しが、平和」。色紙には、ない言葉だった。
親切な対応は、快い思い出を残す。出会いは恵み ー 登明修道士 ー 色紙は 本当に トマ様の 人生ですね。そして 伝道に つながりました。
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